家族問題研究学会Japanese Council on Family Relations


2012年度 公開シンポジウム「災害と家族 ―東日本大震災を考える」


 2011年3月11日に起こった東日本大震災、ならびに福島第一原子力発電所の事故によって、それまでの「日常生活」を一気に失った方々がたくさんおられます。 被災者の方々が失われたものは仕事だけではなく、そのときまで暮らしていた家であったり、家族と一緒に暮らすということであったり、さまざまです。 家を離れ転々と移動せざるを得なかったり、家族と離れる暮らしを余儀なくされたりする多くの被災者が生じているのです。 災害という不測の出来事によって、日常生活を奪われるという事態は、これまでも三宅島噴火による全島避難、阪神大震災など大きな災害において生じてきました。 それに加えて、昨年の地震や津波によって引き起こされた原発事故は、これまでにはなかった種類の災害であり、避難の長期化という問題をうんでいます。 本シンポジウムでは、これまでの大きな災害の調査を継続して行ってこられた研究者、災害の当事者である支援団体のメンバーの方をお呼びし、 災害ならびに事故がいかに日常生活を破壊するのか、災害がもたらす家族や家族生活への影響について考えたいと思います。

日時:2012年7月21日(土) 14:00 〜 16:00
会場:早稲田大学文学部戸山キャンパス36号館681教室
司会:永井暁子(日本女子大学)・千田有紀(武蔵大学)
討論者:竹村祥子(岩手大学)

報告者1:鹿目久美(母ちゃんず・福島避難母子の会in関東)
報告題目:「福島第一原子力発電所の事故後の避難生活と支援活動」
要旨:昨年の福島第一原子力発電所の事故により、私は避難という選択肢をとった。子どもの被爆を考えれば当然の選択と考える人は多いだろうが、 家族がバラバラになる避難という選択はけっして簡単なものではなかった。そして、避難することで全ての問題が解決したわけではない。 避難に伴う生活困難や家族関係の問題は大きい。そして、避難の先にあるものがいまだ見えてこないのである。反面、福島に残って生活をすると決断せざるを得なかった人達にも、 困難と諦めの先に住民同士の心の分断が生じ、震災以前のようなコミュニティが保てなくなっているという現実がある。このような不安な生活を送る中で、私は今、 福島から避難をしてきた人と語り合う会に参加したり、避難先の集まりでは福島の現実を話すこともある。さらには福島の子どもたち、そしてお母さん達を招く「保養」といった活動をし、 「保養」は何かを知ってもらい必要性に気付いてもらいたい。被災し日常の生活を奪われている人達の悩みは深く、それを乗り越えていくことは自分達の力だけでは難しい。 今、それぞれに出来ることは何か。その力を集めた時に、何を成し遂げられるのか。一緒に考えていきたい。

報告者2:田並尚恵(川崎医療福祉大学)
報告題目:「災害が家族にもたらす影響」
要旨:災害が家族にもたらす影響の一つとして、世帯の分離があげられる。1995年に発生した阪神・淡路大震災では、郊外に建設された復興公営住宅から、 働き盛りの年齢層が仕事の都合で出ていき、高齢者層と若年層とが残る「中抜け現象」が起き、それが家族崩壊を招いたといわれている。 また、2000年に発生した三宅島噴火災害では、帰島が可能となった後でも、母子のみが避難先の首都圏にとどまり帰島していないことが指摘されている。 現在、2011年3月に発生した東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所での事故により、原子力発電所の周辺地域を中心に、多くの住民が避難を余儀なくされている。 避難者を対象とした各種調査から、母子での避難が多いこと、三世代同居の世帯から親と子どもの家族との別居などの世帯分離が起こっていることが明らかになっている。 事故や災害は、それまで一緒に暮らしていた家族を引き裂いてしまう。そうした家族への影響、問題点を指摘し、こうした家族への支援の方向性について検討したい。


 

      

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