家族問題研究学会Japanese Council on Family Relations


2013年度 例会

2013年度第三回例会
日時:2014年3月17日(月) 14:00 〜 16:30
会場:明治大学駿河台キャンパス・アカデミーコモン309E教室
司会:和泉広恵(日本女子大学)
報告者:二宮周平(立命館大学)
討論者:米村千代(千葉大学)

報告題目:婚外子差別と民法改正〜子どもの視点とジェンダーの視点から考える」
要旨:2013年9月4日最高裁大法廷は14名の裁判官全員一致で、婚外子の相続 分差別を違憲と判断した。自民党内には違憲判断について根強い反論があったが、最 高裁大法廷の全員一致の判断ということで同年12月5日、婚外子の相続分を婚内子の2 分の1とする民法900条4号ただし書が廃止された。明治民法制定から115年、婚外子差 別の象徴的規定が削除されたのである。しかし、一方では、出生届書の「嫡出子」 「嫡出でない子」をチェックする欄をなくすために必要な戸籍法改正は見送られた。 あくまでも子どもの区別を残し、そのことによって法律婚の優位性を示そうとするか のようである。本報告では、婚外子差別の沿革と根拠を辿り、差別廃止へ向けて提起 されたさまざまな訴訟をふり返り、今次最高裁大法廷決定の意義を確認する。その上 で、子どもの視点とジェンダーの視点から婚外子差別と子どもの平等化を検討したい。

[参考文献] 
 判決については、二宮「婚外子相続分差別を違憲とした最高裁大法廷決定を学ぶ」 戸籍時報703号(2013)2〜12頁、その後の動きも含めて、二宮「『婚外子裁判』と民 法改正」現代思想2013年12月号141〜147頁。
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2013年度第二回例会
日時:2013年12月7日(土) 14:00 〜 16:30
会場:早稲田大学文学部戸山キャンパス36号館682教室
司会:土屋葉(愛知大学)

報告者1:藤間公太(日本学術振興会・慶應義塾大学大学院)
報告題目::「子育てにおける集団性の意義と課題 ―児童自立支援施設での質的調査を通して」
要旨:社会的養護をめぐる戦後の議論においては、「集団性」は子どもへの対 応の「個別性」を捨象するものであると批判される傾向が強い。そこで用いられるロ ジックが「家庭化」である。すなわち、ケア環境をより「家庭」に近づけるべきだと の前提に基づき、処遇単位の「小規模化」が脈々と主張されてきたのである。家族研 究者にとって、こうした動向はいくつかの疑問を喚起するものである。「近代家族 論」以降の家族研究は、「小規模化」した家族のみにケア責任を集約する「家族主 義」を批判してきた。上述した社会的養護をめぐる言説構造は、こうした議論の蓄積 と相対するものであるといえるだろう。「個別性」確保の主張を、「集団性」の否定 と「小規模化」の称揚に直結することは妥当なのだろうか。また、「集団性」におけ るケアがはらむ限界は、ケア単位の「小規模化」によって解決されうるものなのだろ うか。本報告では、児童自立支援施設での質的調査を通してこれらの点を検討する。

報告者2:戸江哲理(日本学術振興会・奈良女子大学)
報告題目:「母親が子どもを「この人」と呼ぶとき―親による子どもに対する指示についての会話分析的研究」
要旨:親は、同じ場所にいる自分の(まだ十分に言葉を話せない)子ども を、「この人」と指示する場合がある。本報告は、この指示表現が果たしている相互 行為上の役割について会話分析の立場から検討する。データは主に子育てひろばで収 録したビデオデータである。親は子どもを「この人」と指示することによって、子ど もを何らかの意味で大人として特徴づける。この特徴づけは、この指示表現をふくむ 発言が遂行している行為を補強する。たとえば、親は自分の子どもの望ましくない行 動について不満を言う場合に、子どもを「この人」と指示する場合がある。この指示 表現を用いることで親は、子どもがあたかも自らの意思をもった大人のように自分の 意に染まない行動をする、というコントロールの難しさを付け足すことができる。こ の例が示すように、親は自分の子どもを「この人」と指示することによって、自分と 子どもを切り離し、親役割から距離を置いている場合もあるかもしれない。

報告者3:大風薫(お茶の水女子大学大学院)
報告題目:「中年期未婚女性の経済的状況とその規定要因」
要旨:平成22年度の国勢調査によれば、日本人女性の生涯未婚率は10.6%と、 10年前の約2倍に達している。2030年時点におけるこの数字は23%と予想され(藤森, 2010)、結婚や世帯形成に対する意識や環境が大きく変化しつつあることから、シン グル単位のライフスタイルに着目した研究を充実させる必要がある。これまでのシン グル女性を対象とした研究では、未婚者に課されるステレオタイプに反論することを 意図し、ことさら、シングルの立場の優位性を主張する研究が多かった(Gordon, 1994)。しかしながら、経済環境の悪化によって、今や未婚者は、自立したくても自 立できない(山田, 2013)経済的な弱者になっている。経済状態が良くないことは、精 神的な健康状態に影響を与えるため、中年期の未婚女性の経済状況とその規定要因を 検討することは極めて重要な課題と考える。本研究は、中年期の一度も結婚経験のな い女性に着目し、収入を中心とする経済的状況とその規定要因を、二次データの分析 によって解明していく。
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2013年度第一回例会
日時:2013年5月11日(土) 13:00 〜 17:15
会場:明治大学駿河台キャンパス・リバティータワー1105教室(10階)
司会:中西泰子(相模女子大学)松木洋人(東京福祉大学短期大学部)

報告者1:木村未和(武蔵大学大学院)
報告題目:農村における近代家族の形成 ―農村家庭雑誌『家の光』を事例として―
要旨:これまで日本における近代家族論は、都市の家族を対象にした研究が中心であった。 そこで本研究では近代以降の農村を研究対象とし、農村において近代的な家族規範はどのように語られ、 形成されてきたのかを明らかにすることを目的とした。分析では、農村家庭雑誌『家の光』の記事にみられる 言説の検討をおこなった。結果として、都市の近代家族像と類似した家族像が「理想」であるとされてきたという 知見が得られた。

報告者2:寺田恵理子(上智大学大学院)
報告題目:低年齢受験させる家族の社会学的研究
要旨:本研究は、子どもに低年齢受験をさせた家族がどのようにして受験に至ったのか、 低年齢受験において母親がどのような役割を担っているのかを考察することを目的とした。 首都圏で私立小学校に子どもを在学させている母親13名のライフストーリーを、 グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した結果、 子どもに低年齢受験をさせた母親はアンビバレントな状態に置かれていることを明らかにした。

報告者3:清水美紀(お茶の水女子大学大学院)
報告題目:預かり保育の実施状況と幼稚園教職員の意識
―幼稚園における育児の社会化に関する一考察―
要旨:近年、子育て支援への要請は非常に高まってきている。 例えばそれは、幼稚園数が減少している一方で、幼稚園での預かり保育の実施率(75.4%) (文部科学省,2011)が上昇していることにも窺える。 本研究では、幼稚園における預かり保育に焦点をあて、 その実施状況と教職員の意識を調査検討した。その結果、 幼稚園教職員の意識への預かり保育の実施状況の影響のほか、 預かり保育を「実施すること」に対する幼稚園教職員の葛藤が明らかとなった。

報告者4:鷲巣禎江(早稲田大学大学院)
報告題目:専門学校生の入学経路とキャリア形成
要旨:本研究は、地方都市にある専門学校に入学した1学年全員に入学から 卒業まで数回の反復面接調査を実施し、その親や専門学校教員および高校教員への 面接調査データと合わせて、専門学校生のキャリア形成について総合的に分析したものである。 今回の報告では、専門学校への入学や卒業後の進路探索過程への親の関わりからみえてくる、 専門学校生とその親の親子関係にテーマを絞り込み、それを中心に報告することにしたい。

報告者5:小林真綾(日本女子大学大学院)
報告題目:女性不妊症患者の院内サポートグループによる交流体験についての検討
−不妊治療を受けている患者の語りから−
要旨:同じ悩みを抱えるメンバーとの交流体験が患者に与える影響を患者の語りから明らか にするとともに、不妊症患者の特性をふまえたサポートグループによる支援のあり方を検討した結果、 ≪仲間意識の形成≫≪共感≫≪楽になった≫≪情報が得られた≫≪気づき≫が見出された。 一方、妊娠報告や年齢、治療段階の違いに対する気遣いといった≪メンバーへの気遣い≫があり、 安定した仲間との関係づくりの困難さもあることが示唆された。

報告者6:平良千晃(東京大学大学院)
報告題目:プロセス的観点から見た里親になるまでの体験
要旨:近年、里親委託に代表される家庭的養護が推進されている。 本研究は、里親に「なる」というプロセスを経て里親養育が始まることに着目し、 里親になろうとするきっかけから委託に至るまでの、最初のプロセスを含めた 包括的な里親家庭への支援のあり方を検討することを目的とした。 方法としては、里親養育を経験した、あるいは経験している9人を対象に 半構造化インタビューを行い、GTAを援用してモデル化を試みた。

報告者7:中兼りっち(日本女子大学大学院)
報告題目:児童養護施設における養育者が考える家庭的養護の在り方
要旨:社会的養護の方向性として、家庭を中心とした安定した人間関係に基づく 養護の方向性が明確に示されている。しかし家庭とは曖昧な存在であり、 基より家庭に基づかない児童養護施設を家庭的にするという実践は、 職員の意識をそのまま反映していると考えられる。 何が家庭的環境を作りだすのかということを明らかにすべく、 最も家庭的(厚労省)とされる地域小規模児童養護施設の勤務経験者8名に 面接を行い、KJ法を用いて分析した。

 


 

      

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