家族問題研究学会Japanese Council on Family Relations


2014年度 例会

2014年度第三回例会
日時:3月21日(土・祝)14時〜16時
会場:早稲田大学26号館(大隈記念タワー)502教室
司会:大日義晴(日本女子大学)
討論者:渋谷望(日本女子大学)

報告者:青山陽子(成蹊大学他非常勤講師)
報告題目:「患者社会における家族コード」
要旨:ハンセン病療養所の患者たちは外部世界でなじみのある様々な文化 コードを理解のパターンとして使用し、療養所という環境に適応して独自の共同性を 形成していた。たとえば療養所内の患者同士が所内で夫婦生活を送る園内結婚では、 外部世界の結婚に関するコードが用いられて夫婦関係や先輩患者たちとの擬似的親族 関係の形成に役立っていた。そして擬似的親族関係を結んだ後輩患者が死期を迎えた 患者を看取るという営みは私的な看取りとして患者社会の習慣となっていった。この ようにして理解のパターンとして用いられた文化コードは、外部社会とは異なる環境 に適応する活動を通じてその都度再構成され、原型となったコードとは異なった機能 を持つコードへと生まれ変わっていく。本報告ではこうした夫婦・親族といった家族 に関連する外部世界の文化コードが、患者社会にどのように持ち込まれ、変容して いったのかについて論じることを目的としたい。
--------------------------------------------------------------------------------
2014年度第二回例会
日時:2015年2月21日(土)14時〜16時
会場:日本女子大学目白キャンパス百年館低層棟104教室
司会:久保田裕之(日本大学)
討論者:ユンジンヒ(島根県立大学)

報告者:浅野智彦(東京学芸大学)
報告題目:「若者の幸福の成り立ちについて」
要旨:若者を社会学的な問いの対象として主題化するやり方は様々である が、2010年代に入って以降、そのやり方の有力な一つとなったのが幸福との関係で若 者を問うというそれだ。2000年代中盤の若者バッシングとアンチバッシングとの間に 引かれた戦線をすり抜けるようにして「幸福な若者」という像が一つの謎として提示 された(その象徴的な著作が古市憲寿の『絶望の国の幸福な若者たち』であろう)。 それが謎を構成するのは、物質的な諸条件を考えれば若者が幸福であるはずはない、 という想定だ。この謎に対する回答は大きく二つに分けられる。一つは、虚偽意識 説。若者は客観的な状況を認めたくないので、自らを幸福であると誤認しているとい うもの。もう一つは、親密性重視説。若者の幸福の基準が物質的なものだけでなく親 密な関係性(友人関係、親子関係等)にもおかれるようになった結果、幸福度が上昇 したというもの。本報告では青少年研究会の調査データをもとにして、第二の回答が 妥当である可能性が高いこと、およびその含意を示す。
--------------------------------------------------------------------------------
2014年度第一回例会
日時:2014年5月18日(日) 13:00 〜 16:00
会場:早稲田大学 本部キャンパス26号館(大隈記念タワー)3階302会議室
司会:久保桂子(千葉大学)・中西泰子(相模女子大学)

報告者1:近兼路子(慶應義塾大学大学院)
報告題目:「シェア居住する高齢者――生活意識と生活共同体の観点から」
要旨:シェア居住は高齢者の住まい方の選択肢の1つとして注目される。イ ンタビュー調査をもとに、シェア居住する高齢者について意識と実態の両面から考察 した。第1にシェア居住は「不完全な制度」と見なしうること、第2に、家族が「生活 保障の最後の堡塁」であるとの生活意識から、居住者相互は浅い互助関係にあるこ と、第3に日常のささやかな関わり合いや共同居住者の死を通し、新たな生活共同体 の萌芽が見て取れること、という3点を指摘する。

報告者2:須田真介(首都大学東京大学院)
報告題目:「重度身体障害者ケア論――「解放」と「管理」のはざまで揺れる多摩更生園を通して」
要旨:本論は、日本における重度身体障害者運動の起点の一つである府中闘 争が、その後の施設におけるケアにどのような影響を与えたのかを歴史的に検証する ことを目的としている。結論として、多摩更生園におけるケアは、「関係性からシス テムへ」の変化であるとまとめることができた。ゆえに、府中闘争はこうした施設に おけるケアの変化を促す役割を果たしていたと考察した。

報告者3:工藤遥(北海道大学大学院)
報告題目:「地域子育て支援拠点における育児援助とネットワーク形成」
要旨:本報告では、政府による子育て支援の重要施策の一つである「地域子 育て支援拠点」に着目し、子育て家庭が地域社会から孤立しやすい日本の育児環境の 改善に対する当該施策の有効性を検討する。具体的には、札幌市の「子育てサロン」 における質的調査結果をもとに、「子育てサポートシステム」の分析枠組みから、地 域子育て支援拠点とそこで形成される母親同士の育児ネットワークが提供する育児援 助の機能および課題を明らかにする。

報告者4:尾曲美香(お茶の水女子大学大学院)
報告題目:「新家事労働における性別役割分業――保育所入所申し込み手続きに着目して」
要旨:待機児童問題を背景に、保育所に入所できるかどうかを左右する入所 手続きは、育児期の共働き世帯にとって大きな課題となっている。本研究では、入所 手続きにかかる一連の行動を保育所の利用に伴い発生する「新家事労働」(Thiele- Wittig 1992=1995; 伊藤 2001)と捉え、その内実を明らかにすることを目的とし た。東京都の保育所を利用する母親・父親へのインタビュー調査の結果、保育所の利 用が親の育児行動を軽減するだけでなく新家事労働を発生させること、その負担が母 親に集中することが明らかになった。

報告者5:Nunuk Endah Srimulyani
       (ヌヌック・エンダー・スリムリヤニ)(千葉大学大学院)
報告題目:「カルティニの男女平等思想――家族主義フェミニズムと二重役割の幻想」
要旨:本研究では、インドネシアの女性解放シンボルであるカルティニ (1879-1904年)が主張した「男女平等」や彼女の生活史はインドネシア社会におい てどのように解釈され、現在の女性社会進出とどのような繋がりがあるのかという点 を明らかにした。小山静子による良妻賢母の概念や女性の力に対するジャワ的哲学を 使い、主に文献研究でそれらを分析している。カルティニの思想は基本的に家族主義 フェミニズムの概念であり、現在のインドネシア女性の二重負担の要因に繋がってい ると言える。

【例会会場ご案内】
会場への最寄り駅は、地下鉄東西線早稲田駅もしくは都電荒川線早稲田駅です。
キャンパス内の地図は、
http://www.waseda.jp/jp/campus/toyama.html
を御参照ください。


 

      

■入会・会員情報の変更など事務取扱は、下記までお願いします。
家族問題研究学会事務局
〒100-0003 東京都千代田区一ツ橋1-1-1 パレスサイドビル 株式会社毎日学術フォーラム内
TEL:03-6267-4550
FAX:03-6267-4555
E-mail:maf-kamonken@mynavi.jp
■機関誌『家族研究年報』の入手を希望される方は、下記までお問い合わせくだ さい。
家族問題研究学会販売代行
住所・TEL/FAXは同上。
E-mail:maf-sales@mynavi.jp


最新情報

家族問題研究学会大会
2017年7月15日(土)
例会     
2017年12月2日(土)
機関誌『家族研究年報』    
No.41(2016年)