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家族問題研究学会Japanese Council on Family Relations


2021年度 例会

2021年度第三回例会
日時・開催形態:3月27日(日)14:00〜16:30(Zoomオンライン開催)
司会:岩田美香(法政大学)
第一報告:三品拓人(日本学術振興会)
第二報告:相澤 仁(大分大学)
討論者:藤間公太(国立社会保障・人口問題研究所)
「社会的養護における家庭的・家族的支援の再検討」
社会的養護をめぐっては、「家庭的」「家族的」であることが希求されている。 たとえば、「子どもの権利条約」批准以降の流れを受けた2016年の児童福祉法の改正、 その理念を達成するための「新しい社会的養育ビジョン(2017年)」が示された。 そこでは、里親への包括的支援体制の強化と里親制度改革、永続的解決としての特別養子縁組の推進、 乳幼児の家庭養育原則、子どものニーズに応じたケアの小規模化や施設の抜本改革、自立支援など、 社会的養護の環境をより「家庭的」なものに変革していく方針が示されている。 こうした動静について(家族)社会学では、「家庭的」ありきで議論が展開されていることについて 実子主義的かつ家族主義的な子育てを上位に置いているとの疑義も出され(藤間2013、土屋2014、野辺・松木・日比野・和泉・土屋2016など)、 それに対するリプライも記されている(武石・山縣2020)。児童福祉施設に対して、より「家庭的」な場所となることが求められ、 また里親委託が施設よりも「家庭的」であることから推奨されるなど、実親以外による子どもへのケアが家族になぞられていることについての問題提起である。 これらの背景を踏まえ本会では、新たな社会的養育のあり方に関する検討会委員を担われ、子ども家庭福祉学会の会長でもある相澤仁氏(大分大学)、 施設養護の現場における参与観察、インタビュー調査にもとづき、「家庭」や「子ども」という概念に与えられた意味を問い直してこられた三品拓人氏(日本学術振興会)を招き、 社会的養護を中心とした「家族的」「家庭的」なるものと、実態や理念としての家族や家庭について、改めて検討を行いたい。
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2021年度第二回例会
日  時: 2022年1月29日(土)14:00〜16:00
開催形態: ZOOMによるオンライン形式

報告者: 斎藤修氏(一橋大学名誉教授)
報告題目:戦前期農家経済調査個票データベース― その家族世帯研究資料としての可能性 ―
報告要旨:
家族世帯は社会行為の場であるとともに,経済行動の単位でもある。それゆえ,経済活動の調査結果が家族社会学のデータとして有用となる場合がありうる。とくに自営業世帯が多かった時代については,その可能性が高い。本報告は,戦前の農林省によって行われた1931(昭和6)‐1941(昭16)年の第3期農家経済調査を取上げ,一橋大学経済研究所附属社会科学統計情報研究センターによってパネルデータベース化されたその個票資料はどのような特性をもつのか,どのような意味で家族世帯の研究に役立つのかを,利用上の問題点・注意点とともに解説する。 報告の構成は以下のとおり。(1) 視角: 家族世帯と経済,家族システムと家族戦略,(2) 戦前期農家経済調査: 農家経済調査とはどのような調査だったのか,第3期調査の特徴,(3) 統計情報センターによる個票のパネルデータベース化事業: 対象農家世帯数,パネルデータ,変数群,等々,(4) 本データベースを利用した研究成果の紹介: 戦時動員による男子労働力(跡とり)の不在,世帯内労働配分への影響,家族による対応,(5) 展望。
参考: 農家経済調査のパネルデータベース化事業と研究成果概要はこちらを参照.
討論者: 前田尚子(名古屋市立大学)
司 会: 南山浩二(成城大学)
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2021年度第一回例会
日時・開催形態:2021年5月29日(土)14:00〜16:30(Zoomオンライン開催)
司 会:三部倫子(奈良女子大学)、宮坂靖子(金城学院大学)

報告者1:韓 仁熙(東京大学大学院)
報告題目:ライフコースからみた女性の世代間援助
要  旨:本研究は、日本の成人女性がライフコースを通じて親との援助関係をどのように形成しており、 その援助関係の変化はいかなる要因によって規定されるかを明らかにすることを目的とする。 「消費生活に関するパネル調査」を分析した結果、@娘の結婚によって援助関係が変化すること、 A既婚女性から妻・夫側親への援助においては、親との居住関係、夫婦のきょうだい関係、 親のニーズ、娘夫婦の資源、親からの相続期待が影響を及ぼすこと、 B過去に実親から受けた援助を数年後に返すという長期的互酬性が成立すると同時に、 親の加齢に応えて援助を行うという利他主義モデルも作用することが明らかになった。

報告者2:小河映育花(お茶の水女子大学大学院)
報告題目:結婚意思のない未婚女性の生活満足度規定要因を探る−働く未婚者の生活満足度に関する総合的な検討−
要  旨:本論文では、結婚意思のない未婚女性における生活満足度規定要因について、 結婚意思のある未婚者や結婚意思のない未婚男性と比較しながら検討した。 研究手法は2次データ分析(使用データ:「インターネットによる未婚男女の結婚と仕事に関する意識調査,2015」)とインタビュー調査である。 これらの調査の結果、主に以下2点が明らかとなった。 @性別や結婚意思の有無に関わらず「Work-to-Life Conflict」をはじめとする仕事・職場要因が働く未婚者の生活満足度に大きな影響を与えている。 A未婚女性において、結婚意思の有無で人間関係やサポートネットワークが生活満足度に及ぼす影響が異なる可能性がある。

報告者3:藤原眞緑(日本女子大学大学院)
報告題目:子育て世帯夫婦における母親の就業と父親の家事・育児参加
要  旨:子育て世帯の父親の家事・育児参加の規定要因を妻の就業形態と夫の性別役割分業意識を中核的な変数として位置づけ、 島根県の浜田市、益田市で2018年3月に実施された「島根県の子育て期の女性の仕事と生活調査」データを用いて分析を行った。 子育て期の女性の労働参加率(正規就業、非正規就業比率)が高い島根県において、 女性の雇用のあり方が男性の家事・育児参加にどう関連するのか明らかにした。

報告者4:戸井田 晴美(一橋大学大学院)
報告題目:ダブルケアの生起から終焉までのプロセスに関する質的研究−ケアの集中化の実態とその構造−
要  旨:本研究の目的は、ダブルケアが生起してから終焉するまでのプロセスにおけるケアの集中化の実態と構造を解明することである。
ダブルケアは世帯を超えた別居家族や親族との関係のなかでどのように展開するのだろうか。
分析の結果、ダブルケアの生起プロセスには、いくつかの進行パターンが存在した。
家族や親族における負担格差が生じる要因としては、パラサイトシングル、ひきこもりや8050問題、疾患を持つ方の存在がケアの集中化に影響をもたらしていた。 ケア対象者の複数化によって、ニーズや時間軸などの多重性が生じ、その結果、自分の仕事や健康などをケアとトレードオフする状況を生み出していた。 ダブルケアの終焉については、肉体的には存在しなくても精神的には生き続けると親の死を捉える考え方とともに、死後の整理が必要になる実態や後悔しないためにケアをするという「死と後悔のイデオロギー」の存在も明らかになった。



 

      

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