大会

2017.07.15大会

2017年度家族問題研究学会大会

日時:7月15日(土)10:30~17:30

会場:早稲田大学文学部戸山キャンパス36号館681教室

      (参加費:会員は無料、一般非会員は500円、学生非会員は100円)


■スケジュール

10:00 ~ : 受付開始

10:30 ~ 12:30: 自由報告部会

12:30 ~ 14:00: 昼食・役員会・シンポジウム打ち合わせ

14:00 ~ 17:00: シンポジウム

17:00 ~ 17:30: 総会


■自由報告部会(10:30~12:30)

報告者1:コルムシ・オリガ(お茶の水女子大学大学院)

「個人の価値観とジェンダー意識が結婚に与える影響:パネルデータを用いた分析」

要  旨 : 本研究において、どのような価値観やジェンダー意識は、個人が 2 年の間に結婚する確率に影響を与えているかを明らかにすることを目的にし、 パネルデータを使って離散時間ロジットモデルによる分析を行った。その結果、以下のことがわかった。 (1)男女ともに、お金に価値を置く「物質重視」の場合は 2 年の間に結婚する確率が下がるのに対し 友人関係・家族に価値を置く「精神重視」の場合は、結婚する確率が上がる。(2) 男性が、「母親が外で働くと、 小学校に通う前の子どもはつらい思いをしやすい」という意見に賛成しているほど、2 年の間に結婚する確率が下がる。


報告者2:永田夏来(兵庫教育大学大学院)

「婚活アプリのビッグデータから見る出会いの分析」

要  旨 : 企業や共同体が従来担っていたマッチング・メーカー役割を代替するべく結婚関連の情報提供や相談体制の整備が官民両方で今日幅広く行われているが、 その成果や内実についての研究は昨今始まったばかりである。本報告では、国内最大手の「結婚を主目的としたITによるマッチングサービス(婚活アプリ)」30万件のビッグデータを用い、 マッチングの多寡を左右する条件に注目した分析を行う。従来指摘されてきた1)社会経済的な地位の優位性におけるジェンダー差、 2)年齢や身長など身体性、3)上昇婚に代表される階層移動などがビッグデータでも確認できるか検討する(なお、本報告は株式会社リクルートテクノロジーズとの共同研究である)。


報告者3:叶尤奇(椙山女学園大学)

「日本人海外駐在員妻の異文化体験:上海を事例に」

要  旨 : 本報告の目的は、上海に在住する日本人海外駐在員妻の異文化生活の体験を明らかにすることである。 とりわけ、次の三つの側面に着目して考察を行いたい。すなわち、彼女たちが上海において生活を送る中で、 (1)彼女たちのアイデンティティのありようはどのようになっているのか、 (2)彼女たちはどのようなパーソナル・ネットワークを有しているのか、および(3)彼女たちは、上海の日本人下位文化とどのように関わっているのかである。 なお、これらの解明にあたり、上海在住の日本人海外駐在員妻39名のインタビュー・データを用いている。


報告者4:近兼路子(慶應義塾大学大学院)

「高齢者シェア居住におけるケアの協働」

要  旨 :本報告では高齢者シェア居住の運営団体および居住者のインタビュー調査から、多様な担い手によるケアの協働のあり方について検討する。 高齢者シェア居住では、自立と共生を住まいのコンセプトとしているところが少なくない。ここでの自立には「必要な依存」をしながら自立した生活をするという意味が、 共生には居住者間のみならず地域とともに暮らすという意味が、それぞれ込められている。しかし、必要な依存に居住者相互のケアや地域からの支援のみで対応するのは容易でない。 シェア居住の現場では、シェア居住運営団体のスタッフ、専門家、そして家族もケアの担い手となっている。本報告では、これら担い手のケアの協働を動的にとらえたい。


司会:大日義晴(日本女子大学)


■シンポジウム(14:00~17:00)

テーマ:「家族研究と政策提言:少子化対策に焦点を当てて」

報告者1:山口一男(シカゴ大学)

要  旨 : 何が原因で少子化が起こるのかという原因に関する分析の問題と、政府や地方自治体や企業が出生率の向上の意味での少子化対策として何をすべきかという問題は、 明示的に区別しなければならない。原因の分析の問題は純然たる社会科学の問題で個人の価値観とは独立であるが、 政策問題はどのような社会が望ましいかという価値観と切り離して考えることはできないからである。このような区別をふまえ、 講演ではまず実証的な研究を通じた日本やOECD諸国での低出生率への影響に対する筆者の知見を紹介する。 さらに「子どもの質の価格」に関するベッカー理論から得られる仮説や育児休業制度の影響について日韓の共通性と差異性の検証を通じ、 出生率への要因の相対的重要性が社会制度に依存することを示し、あわせてミクロレベルデータによる国際比較の必要性に言及する。 またそれらの分析結果を踏まえてどのような少子化対策が望ましいと考えるかについて議論する。


報告者2:加藤彰彦(明治大学)

要  旨 : 2014年6月に明治大学で行われた日本人口学会主催の公開シンポジウム「少子化対策のパラダイム転換」での報告をきっかけに、 出生政策や地方創生策について、意見を求められたり、政策提言に関わる仕事を依頼されるようになり、そのいくつかを引き受けてきた。 これらの仕事は、先方からの質問や依頼に対して答えたものであって、学会に向けたものではなかったが、何人かの先生方が取り上げて議論してくださったようである。 私の方では日々の生活に追われるなか特段の機会もなく応答できずにいたところ、今回議論の場を提供してくださり感謝している。 与えられた課題は、少子化対策に焦点を当てつつ、家族研究と政策提言のあり方・あるべき姿について議論することなので、次のような流れで報告を進めたい。 まず少子化・無子化・人口減少の危機について、本質的な論点を明確化し、つぎに私のプロジェクトが提言した家族人口政策の核心部分を紹介して、 その意義・射程・ターゲットについて論じる。そして最後に、研究者による政策提言のあるべき姿について、私が自らに課しているところを述べてみたい。


討論者1:千田有紀(武蔵大学)

  討論者2:阪井裕一郎(福岡県立大学)


司会:中西泰子(相模女子大学)

   松木洋人(大阪市立大学大学院)


【大会会場ご案内】

【最寄駅からのアクセス】

■JR山手線 高田馬場駅から徒歩20分

■西武新宿線 高田馬場駅から徒歩20分

■地下鉄東京メトロ東西線 早稲田駅から徒歩3分

■副都心線 西早稲田駅から徒歩12分

【バスでのアクセス】

■高田馬場駅-早大正門、馬場下町バス停

■キャンパス内の地図は、こちらを御参照ください。