大会

2023.06.16大会

2023年度家族問題研究学会大会

日時 : 2023年7月15日(土)

会場 : 聖心女子大学4号館2階4-2教室

(会場ご案内は以下を参照ください→ https://www.u-sacred-heart.ac.jp/social-partnership/plaza/

※シンポジウムは、リアルタイムでオンライン配信をおこないます。ただし簡便なものになります。資料等の画面共有などは行いません。


参加手順:会員・非会員ともに事前登録が必要です。末尾の *事前登録の方法 を参照ください。

参加費:無料

 

スケジュール

11:00:開場

11:30-12:30:自由報告部会

12:30-14:00:昼食・役員会・シンポジウム打ち合わせ

14:00-17:00:シンポジウム

17:00-17:30:総会 


プログラム

■自由報告部会(11:30-12:30) 司会:菊地真理(大阪産業大学)


報告者1:中川敦(宇都宮大学) 

報告題目:地域ケア会議における「実践的再家族化」の会話分析 

――人物指示の使い分けによる介護責任帰属の強度の調節 

要旨:地域包括支援センターが主催する地域ケア会議に、介護が必要な高齢の親の、離れて暮らす子どもが参加する場合がある。そこで支援者が「介護のためのかかわりの勧め」を行なうことは、介護責任の脱家族化を支える支援者が、離れて暮らす子どもに介護責任を差し戻す「実践的再家族化」である。その際、支援者は「実践的再家族化」の実現可能性と、離れて暮らす子どもからの抵抗への対処のバランスをとるために、離れて暮らす子どもに関する人物指示を使い分けることで、介護責任帰属の強度の調節を行なう。本報告では地域ケア会議の録画データの会話分析から、人物指示の使い分けが「実践的再家族化」を方法的に支えていることを明らかにする。 


報告者2:小西凌(三重大学大学院) 

報告題目:高校生の進学障壁に及ぼす要因に関する予備的研究 

――「経済的に進学が難しい」の回答に着目して

要旨:本研究では、東京大学社会科学研究所・ベネッセ教育総合研究所が実施した「高校生活と進路に関する調査」(2019年3月~4月上旬に実施)における高校3年生の個票データ(1,014名)に基づき、なかでも高校生が進路選択において悩んだこととして挙げた「経済的に進学が難しい」に着目して、進学障壁を規定する要因を明らかにすることを目的に分析を行なった。分析の結果、世帯収入だけでなく、きょうだい数も「経済的に進学が難しい」と回答する傾向を高めていることが明らかになった。また、成績上位であることや普通科であることは、他の変数を統制したうえでも「経済的に進学が難しい」に該当しづらい傾向を示した。


■シンポジウム(14:00-17:00) 共催:聖心女子大学グローバル共生研究所

テーマ:ケア関係としての「結婚」の可能性

    ――伴侶性・異性愛主義から考える

趣 旨:異性愛や性愛に限らない親密性、親子関係とパートナーシップとの繋がりの非自明性など、「結婚」は新たな局面を迎えているように見える。その一方で、「結婚」が叶わない人々からの「結婚」への希求も社会問題として扱われるようになっている。本企画では米国をフィールドにしてポリアモリーの研究を続けてきた深海菊絵氏(日本学術振興会特別研究員RPD)、異性愛中心主義への批判的検討から「結婚の無効化」を論じる志田哲之氏(立教大学)のお二方をお招きする。ケア関係としての結婚はいかなる態様として可能なのか、特に伴侶性および異性愛主義を相対化することで、議論を深めていきたい。


司会:永田夏来(兵庫教育大学)・菅野摂子(埼玉大学)

討論者:野沢慎司(明治学院大学)・池田弘乃(山形大学)


第1報告:志田哲之(立教大学等非常勤講師)

報告題目:多様性時代における結婚を考える

要旨:人権と平等を旗頭に「同性婚」要求の声が高まるにつれて、異性間の結婚離れとのギャップを強く感じるようになったことが本発表の出発点である。

 いわゆる「同性婚訴訟」において、地裁から判決文が徐々に原告の主張に寄り添うようになった一方で、2021年実施の「第16回出生動向基本調査」結果では「いずれ結婚するつもり」とする未婚者の減少が示されたことは、このギャップの好例かもしれない。またこの減少は若者の人生計画がシングル設計へと変更されることも予期させる。

 つまり結婚「制度」が保障してきた数々の恩恵は、皆婚といわれた時期とは異なり人々に行き渡らないこととなる。「制度」としての結婚は、むしろ人々に不平等さえももたらしているとさえいえる。

 皆婚がすでに崩壊した現在、結婚制度によってもたらされていた恩恵はカップル単位ではなく個人単位へと再編成する必要があると、本発表では提起したい。


第2報告:深海菊絵(独立行政法人日本学術振興会 特別研究員(RPD))

報告題目:個人主義とコミットメント

     ――米国「ソロ・ポリアモリー」のケア関係を事例として

要旨:本発表では、米国のポリアモリー実践者たちが、独自にケア関係を創出していくプロセスに光を当てる。「合意のあるノンモノガミー」の一形態であるポリアモリーでは、婚姻規範に囚われずに自らの生き方を選択することの重要性が強調され、自律的な個人を理想とする傾向がみられる。その一方で、人びとの日常に目を向けると、他者とのコミットメントを重視する態度も観察される。

ポリアモリーにはバリエーションがみられるが、「ソロ・ポリアモリー solo polyamory」にはこの特徴が際立ってみられる。ソロ・ポリアモリストの多くは、パートナーと住居や経済を共有することを望まない。かれらにおいて注目すべきは、モノガミー規範に基づいた伝統的なモデルコースを批判し、自分や自分たちの関係にとっていかなる関係が機能するかという点にフォーカスしている点である。そこで本発表では、ソロ・ポリアモリーの事例を中心的に取り上げながら、ポリアモラスな関係を生きる人びとがいかに他者との関係を創り出しているのか、その過程において何が重視されており、どのようなジレンマが生じているのかを検討する。このような作業は、多様なケア関係に対応した政策を検討する上でも重要である。


*事前登録の方法

以下のリンクあるいはQRコードより登録用フォームにアクセスして必要事項をご記入の上で回答を送信してください。 

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSe0m6dp53vQSjPG6sFozxAlzZ4lv5IZYGcyRWGFE0RT0w92Uw/viewform

受付開始は2023年6月20日(火)19:00を予定しています。なお7月10日(火)までに事前登録された方には配布資料へのアクセスについて後日メールにて連絡いたします。また、オンライン参加用のURLも併せてお知らせします。7月10日(火)以降に登録された方には、それぞれフォームよりお知らせする予定です。なお大会会場ではゲスト用のWi-Fiアカウントを発行しますので、持参されたノートパソコンやタブレットに資料をダウンロードすることもできます。大会当日に紙での配布はいたしませんのでご注意ください。