大会

2026.07.19大会

2026年度家族問題研究学会大会

2026年7月19日(日)に、家族問題研究学会大会を下記の通り開催します。


① 概要

・日時:2026年7月19日(日)10:30開場、11:00開始

・場所:明治学院大学白金キャンパス高輪校舎(15 号館)

https://www.meijigakuin.ac.jp/access/

https://www.meijigakuin.ac.jp/campus/shirokane/


※会場の高輪校舎(15号館)は、白金キャンパスから徒歩5分ほどの場所にある独立した建物(マップ上の7番)です。


・タイムスケジュール(報告数により変更の可能性があります):

10:30:開場

11:00-12:30:自由報告部会

12:30-14:00:昼食・役員会

14:00-17:00:シンポジウム

17:00-17:30:総会


②参加費、参加申込方法

・参加費:会員、非会員とも無料

・参加手順:会員・非会員ともに事前登録が必要です

※事前登録の方法は下記の通りです。 以下のリンクより登録用フォームにアクセスして必要事項をご記入の上で回答を送信してください。今回は、会場の都合で、学会大会参加者の方には高輪校舎の入口に設置する受付デスクで事前申し込み者であることをチェックする予定です。必ず事前申し込みをして、当日の受付で学会大会参加者である旨をお声がけください。

https://forms.gle/5gFaJ9zi68w69GZy9


③プログラム(第2報)

■自由報告部会(11:00-12:30)


・第1部会 司会:藤間公太(京都大学)

報告者1:張シンヨウ(お茶の水女子大学大学院)

報告題目:中国における女性友人関係による共同生活の可能性――家事労働の分担・交渉・認識を中心に

 本報告は中国における女性友人共同生活に注目し、家事労働をめぐりどのような分担・交渉・認識がなされているのかを検討する。そこでは同性間・非性愛関係・収入の独立性といった特徴から、従来の性愛関係における家事労働研究が重視してきた構造が必ずしも同様に見られるとは限らない。本報告はインタビュー調査によって、家事労働が時間的余裕・能力・好み等に基づき分担され、性別役割になぞらえて語るものの、その意味づけは異性愛関係における役割分業とは必ずしも一致しないことを指摘する。互いの労働への認識・応答を重視することで、家事労働の「平等」が再定義され、友人共同生活関係の理解と維持に関わっていることを明らかにする。


報告者2:山田夏子(立教大学大学院)

報告題目:セクシュアルマイノリティに育てられた子どもの社会学的研究に向けた枠組みの検討――先行研究の整理と日本における支援グループの取り組みを中心に

 本発表は、セクシュアルマイノリティに育てられた子どもの経験について、社会学的研究に向けた枠組みの検討を目的とする。日本においてセクシュアルマイノリティ当事者のもとで育った人を対象とした研究やメディアでの取り上げは、筆者の確認した限り極めて限られており、不可視化された存在と言える。子の立場の人を研究対象とした海外文献を中心に、学校や地域社会における家族に関わる経験とその対処や意味づけに関する先行研究を整理する。あわせて、日本の支援グループが開始したセクシュアルマイノリティのもとで育った子ども自身の居場所づくりについて、関係者へのインタビューをもとに萌芽的実践を報告する。


報告者3:岩城はるみ(関西大学大学院)

報告題目:男性育休取得における夫婦間の意思決定プロセス――夫婦インタビューからの検討

 これまで男性の育休取得の促進要因は、当事者である男性を主な分析対象として検討されてきた。しかし、男性の育休取得の意思決定には、妻の意向や調整行動が影響している可能性もある。そこで本報告では、夫が育休を取得した夫婦11組のペアデータを用い、夫の育休取得が夫婦間でどのように意思決定されたのかを質的に検討した。分析の結果、取得時期や期間については妻の意向が反映される場合があるものの、育休取得の決定には、妻の意向や調整行動の影響は確認されなかった。以上の知見は、男性育休の取得決定が夫婦間交渉や家庭内の意思決定プロセスよりも、夫を取り巻く社会的環境や規範からより大きく影響を受けている可能性を示唆する。


・第2部会 司会:須長史生(昭和医科大学)

報告者1:小西凌(三重大学)

報告題目:混合研究法による「親ガチャ」意識の検討

 2021年に「親ガチャ」は若者の間で広まり、出自と努力観を結びつける言葉として定着したが、出自に対する主観的認識の形成とその影響を捉える研究は乏しい。とりわけ、恵まれた環境でも「親ガチャハズレ」と感じる若者の存在は十分に説明されていない。本研究は、18~22歳の男女1600名を対象としたWEB調査とインタビュー調査による混合研究法を採用する。とりわけ「ハズレ」と回答した層に着目し、インタビュー対象者12名のうち該当する2名の語りを分析することで、量的調査結果の解釈を行う。


報告者2:本多真隆(立教大学)

報告題目:高度経済成長期における「家庭」と男性性の変容――1960年代における「家庭論争」の検討を通して

 本報告の目的は、1960年代前半の論壇誌で展開された「家庭論争」を検討し、高度経済成長期における「家庭」言説の変容の一端を明らかにすることである。近代家族研究において「家庭」概念は、公私の分離や性別役割分業の浸透と連動し、女性の領域として意味づけられてきたとされる。しかし家庭論争においては、大熊信行、会田雄次、松下圭一ら男性知識人を中心に、マイホーム主義批判や男性性をめぐる問題とともに「家庭」概念が俎上に載せられた。本報告は同論争の検討を通じて、高度経済成長期における「家庭」概念の再編と多義性、そしてそこから浮かび上がる男性性の問題を考察する。


報告者3:Dai Huilian(早稲田大学大学院)

報告題目:中国人レズビアンと親の語り――孝道との葛藤および「家族」維持の実践

 本研究は、中国のレズビアンが「異性愛家族を前提とする主流社会」の規範や伝統的親孝行の重圧に直面しながら、いかに自己のアイデンティティを保持し、家族関係を維持・再構築しているのかに焦点を当てる。質的調査を通じて、彼女たちの「戦略的な親孝行実践」と「親密性の再編」のプロセスを解明することを目的とする。分析結果から、中国家庭関係を再構築するための高度な実践がなされていることが明らかになった。例えば、親子双方が同性愛という話題をあえて公にしないことで、世間体(面子)を守りつつ日常生活の温情を維持する。これは、親の意向には盲従しないが感情的交流は維持する現代的な変容形態であり、対立を回避し新たな均衡を模索するための「関係調整的規範」として機能している。



■シンポジウム(14:00-17:00)

テーマ:「『射精責任』の未来に向けて――妊娠出産・育児の共同性の視点から」


趣旨:ガブリエル・ブレア氏による『射精責任』は、2023年に邦訳され、日本でも大きな話題となった。邦訳本の解説を執筆した齋藤圭介氏によって編まれた『日本の「射精責任」論』では、1997年に発表された沼崎一郎氏の論文およびそれへの応答を振り返り、この問題の現在地をさまざまな立場から論じている。

女性に不均衡に配置されてきた妊娠の責任を男性側へと大きく寄せるために「射精責任」というタームは確かに有用だが、そこから先に進むために、私たちは何を考えれば良いだろうか。

今回のシンポジウムでは、「責任の共有」(多賀太氏)、「見えにくいものを含めた共同の現象」(中真生氏)という指摘を道標に、妊娠出産・育児の共同性をテーマとし、議論を深める。


司会:菅野摂子(東京科学大学)、鈴木翔(東京電機大学)

討論者:久保田裕之(日本大学)、大出春江(大妻女子大学)


第1報告:齋藤圭介(岡山大学)

報告題目:ガブリエル・ブレア『射精責任』と日本の射精責任論

ガブリエル・ブレア『射精責任』(2022=2023)は、望まない妊娠や中絶をめぐる責任が女性に偏ってきた現状を問い直し、男性を生殖の当事者として位置づける議論として大きな反響を呼んだ。じつは日本でも、沼崎一郎による先駆的な問題提起以来、男性の責任や当事者性をめぐる議論は積み重ねられてきた。『日本の「射精責任」論』(2025)では、先行研究の紹介とともに、多様な論点の提示を行った。本報告では、射精責任論の展開と意義を振り返りつつ、その課題を検討する。そのうえで、男性の責任を問う視点からさらに一歩進み、妊娠・出産・育児をめぐる共同性をいかに構想しうるのかという論点を提起したい。


第2報告:中真生(神戸大学)

報告題目:生殖の経験の共有と非共有

 本報告ではまず、ブレアの「射精責任」の主張を受けて、避妊や妊娠の責任を共同性の観点から考察する。その後、中絶・出産・養育などの事象にまで対象を広げ、それらにおける女性と男性、母親と父親のあいだの経験の共有 / 非共有について、さらには周囲の人々や社会をも含んだ共有の可能性について考え進めてみたい。妊娠・出産や授乳など生殖における物理的身体の関与の度合いは大きく女性に偏っているものの、そのことと、それらの事象に対する責任や、それらを我がこととして経験しうるかどうかとは、切り離しうる別のことである点に改めて注意を喚起する。


第3報告:多賀太(関西大学)

報告題目:生殖に関する責任の共有に向けた男性支援へ

本報告では、予期せぬ妊娠とその対応に責任があるのは男性か女性かという二者択一の発想から少し距離を置いて、「責任の共有」という視点に立ち、男女がともにそうした責任を果していくために有効な支援や取り組みについて議論する。具体的には、海外の研究を参考に「責任の共有」やその遂行に伴う障壁の例を挙げ、障壁の解消に向けて最も取り組まれるべき課題の1つとして性と生殖に関する学習機会の拡充について論じる。さらに、「責任の共有」の概念を、「個人的な関係」の文脈から「社会の一員として」の文脈へと拡大して捉え、男性が社会の一員として責任を果たすための具体的な方法を考える。