例会
2020年度 例会
2020年度第三回例会
日時・開催形態: 2021年3月13日(土)午後1:30~午後3:30(オンライン開催)
参加資格 : 会員
参 加 費 : 無料
司会:南山浩二(成城大学)・久保田裕之(日本大学)
第一報告:赤石千衣子(NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事長)
報告題目:コロナ禍のひとり親―支援活動と調査結果から―
報告要旨:NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむは、シングルマザー経験者を中心に活動するシングルマザー親子のサポート団体である。 本団体は、1980年、児童扶養手当制度の改善を目指してシングルマザーが集まり任意団体として発足し、 その後、活動を広げ2002年にNPO法人となり、2018年には認定NPO法人の認定を受けている。 「シングルマザーと子どもたちが生き生きと暮らせる社会をつくること」を目標に掲げ、 就労支援、相談事業、セミナーと人材育成、情報提供、新入学お祝い金事業、親子のイベントなど、様々な活動を精力的に展開している。 新型コロナウィルスの感染拡大により、ひとり親と子どもたちの暮らしは、窮迫し、生活の様々な側面において非常に困難な状況にある。 今回は、本団体が行っている支援活動や調査結果、政策提言、他団体支援などの報告を通じて、 コロナ禍にあるひとり親と子どもたちの実状と社会的課題について、参加者と共有する機会としたい。
第二報告:神原文子(社会学者)
報告題目:コロナ禍における子づれシングル注)女性の生活困難―社会学の視点から-
報告要旨:2020年3月、コロナ禍による臨時一斉休校が要請され、4月には緊急事態宣言が発令され、 やがて、子づれシングル女性たちの窮状が、私のところにも伝わってきた。どんな支援ができるかと考える中で、 日本中のだれもが不便や困難を強いられ、不安を抱いている状況において、 子づれシングルたちの生活実態を浮き彫りにするためのデータの必要性に行き当たった。 幸い、2020年7月に大阪府の男女共同参画担当部局が「コロナ禍が女性に及ぼす影響」に関するWEBとアンケート用紙による緊急調査を実施した。 府内在住・在勤の女性911人と男性185人の回答があった。性別、職種、世帯構成などを異にする回答者の比較から、 コロナ禍において、男性よりも女性、正規雇用よりも非正規と自営業、中学生以上の子どものいる世帯よりも小学生以下の子どものいる世帯、 大人が複数いる世帯よりも大人がひとりの世帯ほど、経済面のみならず生活全般にわたる重複する困難を被るリスクの高いことが示唆された。 この結果等をふまえて、コロナ禍における子づれシングル女性の「社会的排除の深刻化」モデルを提示したい。
注)「子づれシングル」とは、子どもを養育している無配偶の生活者を意味する神原の造語である。
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2020年度第二回例会
日時 : 2020年12月6日(日)14:00~
会 場 : ZOOMによるオンライン開催(※下記案内をご参照ください)
参加資格 : 会員のみ(※入会希望の方は別途お問い合わせください)
参 加 費 : 無料
司 会 : 久保田裕之(日本大学)・南山浩二(成城大学)
報告者1:渡瀬 雅紀(社会福祉法人駿府葵会)
報告題目:高齢者・家族介護者の「意向」とケアマネジャーの支援――介護保険制度利用者である高齢者本人と家族介護者の満足度に関するインタビュー調査の結果から
要 旨:介護者支援の観点からいえば、介護サービスの利用者は、高齢者本人だけではなく、家族介護者も含むことができる。 高齢者本人と家族介護者の間で「意向」が異なること、さらに、本人・介護者それぞれがケアマネジャーに対し表出する 「意向」が「本音」と異なっていることも少なくない。こうした諸相にある「意向」をめぐりケアマネジャーの支援がどのように作用・関連しているのか、 サービス利用者を対象としたインタビュー調査の結果から考察した。本論の試みは、利用者のニーズとサービスを繋ぐ専門職であるケアマネジャーの支援が 制度の基本理念の一つである「利用者主体」を実現できているかどうかを問うことにもなるといえるだろう。
報告者2:岡田 玖美子(大阪大学大学院)
報告題目:戦後家族社会学における夫婦間情緒についての言説の動向と背景――初学者向けテキストの分析をとおして
要 旨:「情緒」をめぐっては、その概念や用語のばらつきのほか、十分に理論的蓄積や視点の相違が整理されていない点が指摘されてきた。 そのなかで 2000 年代以降、日本の家族の情緒性に関する歴史社会学的研究や学説研究が進んでいる。近年、学説史ではとくに戦後の民主化論者への関心が高いが、 本報告では戦後家族社会学を俯瞰的に把握するため、初学者向けに執筆され学問上の趨勢を反映した教科書的文献を分析対象とする。 そして、家族の情緒のなかでも夫婦関係におけるものに焦点化し、夫婦間のジェンダー非対称性に関する視点の差異に着目しながら、 言説の動向とその背後にある研究潮流を読み解くことで、対等な夫婦関係の模索に向けた視座を整理する。
報告者3:陳 予茜(明治大学大学院)
報告題目:中国の一人っ子女性の配偶者選択における親子関係
要 旨:本研究は、中国の一人っ子女性の配偶者選択における親子関係を明らかにした。 インタビュー・データの分析の結果、一人っ子女性の多くは「見合い」という形で結婚相手と出会っていた。しかし「見合い」といっても、 その形と内容は伝統的な「見合い」とは異なるものであった。また結婚相手に求めるものについては親子の間に意見のズレが生じており、 親は相手の経済力と安定性を重視するが、子どもは相手の人柄と自分との相性を重視していた。 ただし、こうした意見のズレは、一人っ子女性の親子関係を対立や衝突というよりも、配偶者選択における親子の役割分担であったと考えられる。
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2020年度第一回例会
長引く新型コロナウイルスの影響を考慮し、5月16日(土)に開催を予定していた例会(修論発表会)については、 残念ながら中止とさせていただきます。修論発表会の性質に鑑み、延期は行わないことになりました。 すでにご応募いただいた報告者、ご推薦をいただいた先生方には、大変ご迷惑をおかけすることになり、申し訳ありません。 ご理解のほどよろしくお願いいたします。