例会

2022.11.10例会

2022年度第2回例会

2022年度第2回目の例会として書評セッションを企画致しました。 『日本の男性不妊―当事者夫婦の語りから―』(晃洋書房)の著者、竹家一美会員にご登壇いただき、本書におきます研究のねらい、 先行研究との関連、調査研究の概要と結果、結論などについてお話しいただきます。実に約3年ぶりの対面での開催となります。 皆さまにお会いできることを楽しみにしております。年末でお忙しいことと思いますが、ふるってご参加ください。


日時  :2022年12月11日(日)14:00~16:00

開催形態:成城大学3号館1階311教室

参加費:参加費は無料ですが会員・非会員ともに事前登録が必要です。

事前登録の方法は下記の通りです。

 以下のリンクあるいはQRコードより登録用フォームにアクセスして必要事項をご記入の上で回答を送信してください。 配布資料へのアクセス方法についてもフォームよりお知らせします。なお、準備の都合により登録受付開始は2022年12月6日(火)19:00を予定しています。




報 告 者:竹家一美(お茶の水女子大学ほか非常勤講師)

報告題目:日本の男性不妊―当事者夫婦の語りから―

報告要旨:

WHOによれば1997年時点で、不妊に悩むカップルの約半数は男性側に原因があるという。 にもかかわらず、日本では長年男性不妊は覆い隠され、不妊は女性の問題とみなされてきた。 ところが近年、少子化対策を背景に、政治的・医療的な問題として男性不妊が注目されるようになってきた。 先行研究は、男性不妊と結びつけられるスティグマのせいで、不妊男性の多くが沈黙を続ける傾向を報告してきた。 男性不妊は一般に、女性を妊娠させる能力のみならず、性的能力や父性や男らしさをも崩壊させるものとして、 性的不能と一括りに語られてきたのである。ただし日本には、男性不妊の当事者を対象とした社会学的な研究は存在しない。 そこで本研究では、男性不妊をめぐる当事者の経験を明らかにし、その上で、現代日本における男性不妊の位置づけを考察することを目的とした。 調査は、不妊症と診断された男性8名と男性不妊の夫をもつ女性11名の計19名を対象に、半構造化インタビューを実施した。 また、男性不妊の専門医5名にも、補完的にインタビューを行っている。結論は以下の二点となる。 第一に、現代日本において「男性不妊は妻の問題として位置づけられる」ということ。 換言すれば、男性不妊とは、男性個人にとっての身体の問題としてではなく、 結婚後に生起する「家族形成の問題」もしくは「夫婦関係の問題」として位置づけられる。 したがって第二に、男性にとって男性不妊は「私的領域の問題」として位置づけられるため、 それは必ずしもスティグマとはみなされない。当該社会において男性不妊が医療化した現在、 それは社会的には「病気」として位置づけられ、医療の対象となったのである。 本報告では、4つのリサーチクエスチョンに対する分析結果を提示しながら、上記結論に至ったプロセスについてお示ししたいと考えている。

コメンテーター:須長史生(昭和大学)

司会:南山浩二(成城大学)


【例会会場ご案内】

*成城大学へのアクセスにつきましては下記ホームページをご参照下さい。

小田急線「急行」は成城学園前駅で停車しますが「快速急行」は通過となりますのでご注意ください。成城学園前駅から成城大学までは駅北口から徒歩4分程度です。

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  正門から入り直進しますと左手に3号館があります。

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