例会
2023年度第2回例会のご案内
2023年度第2回目の例会は、「『家族研究年報』2000年代までの回顧と若手研究者からの問い」と題し、下記の通り(対面)にて開催いたします。年度末でお忙しいことと思いますが、ぜひふるってご参加ください。
日 時 : 2024年3月20日(水・祝)14:00~16:00
会 場 : 聖心女子大学 4号館2階4-2教室
参 加 資 格 : 会員・非会員ともに事前登録が必要です
全体テーマ:『家族研究年報』2000年代までの回顧と若手研究者からの問い
概 要:家族問題研究学会では、『家族研究年報』のバックナンバー(茶色の表紙の時代)のweb公開を進めている。その公開作業に取り組む若手研究者の視点から創刊から2000年代までの『家族研究年報』における家族研究の動向を概観し、当学会が取り組んできた家族研究を振り返る。若手からの問いに対して、家族問題研究学会の歴史を知る会員による応答という形で、時代背景や当時の研究状況について解説してもらい、異世代の家族研究者による討論を通して、これまでの家族研究をふまえつつこれからの家族研究およびその課題を展望する。
コーディネーター:田中慶子(明治学院大学)・米村千代(千葉大学)
コメンテーター:池岡義孝(早稲田大学名誉教授)・渡辺秀樹(慶應義塾大学名誉教授)
第一報告:田中慶子(明治学院大学・家族社会学)
報告題目:2000年代までの『家族研究年報』における研究動向の概観と現在からの問い
報告要旨:本報告では創刊号から2000年代までの『家族研究年報』の特集や論文を概観し、1980年代以降に公刊された巻を中心に、どのような「家族問題」が取り扱われてきたのか、その動向を整理する。当会での例会報告における研究動向については、50周年記念シンポジウム報告(32号、2007年)において今例会のコメンテーターでもある池岡先生によって詳細に検討されており、その理解を前提として議論を行う。初期には海外の研究(者)や新しい理論への接近や理論や学説の討議が誌上においても積極的に行われていた。「模索の時期」(池岡 2007)以降、新たな家族の現象や家族問題について、「現場」や「臨床」、政策等との接近が試みられるようになったことや質的アプローチへの志向性の高まりといった傾向がみられる。このような背景や当時の認識について回顧する素材を提供したい。
文献:池岡義孝,2007「家族問題研究会にみる戦後日本の家族研究の展開」『家族研究年報』32号
第二報告:岡田玖美子(大阪大学大学院・家族社会学、ジェンダー論)
報告題目:『家族研究年報』にみる「夫婦問題」の変容と視点の転換――「母」「主婦」から「ジェンダー」へ
報告要旨:本報告では、家族問題研究会設立当初から会員の関心の対象の1つであった夫婦関係や結婚について、1980年代から2000年代を中心に「家族問題」としては、どのような社会背景のもとで、どのように学術的に問題提起され、どのような視点・理論から取り組まれたのかを整理する。『家族研究年報』からみえた大きな流れとしては、臨床的な離婚問題や「専業主婦」および「母」の悩みから、1990年代の「ジェンダー」視点や近代家族論の展開を経て、性別役割分業の問題化や、個人の人生・主観と家族との両立・調整の問題化へと移行していく過程があった。この流れについて、具体的な個々の論文や論者、シンポジウム報告などを参照しながら、今日との対比のなかで当時の動向をとらえる。また、近代家族論や「ジェンダー」概念の浸透については、「家族社会学」の文脈でもすでに議論がなされてきたが、「家族問題研究」の文脈でとらえた場合、どのような転換点となったのかを考察する。
第三報告:石黒史郎(学習院女子大学ほか非常勤・家族学説)
報告題目:『家族研究年報』の回顧的な特集にみる小山隆の影響とその評価
報告要旨:『家族研究年報』には、小山隆を追悼する特集(10号)、設立50周年記念シンポジウム(32号)などをはじめとして、これまでに複数の回顧的な特集や論文が掲載されている。本報告ではこれらの中でしばしば言及される本学会の創始者、小山隆に着目し、小山が本学会の特色や傾向にどのように影響を与えているとみなされてきたかについて検討する。なかでも、彼の意図した本学会初期の学際性や実践性は、複数の回顧に一貫して、高く評価されている。しかしながら本学会をめぐる状況の変化にともなって、「学際性」や「実践性」の捉えられかたそのものは変化していっている。本報告では、この学際性や実践性の位置づけられかたやその変化を追うことを通して、小山の影響と本学会のありかたの関係性を考察する。
【例会会場ご案内】
聖心女子大学4号館(聖心グローバルプラザ)2階4-2教室
https://www.u-sacred-heart.ac.jp/social-partnership/plaza/
*事前登録の方法は下記の通りです。
以下のリンクあるいはQRコードより登録用フォームにアクセスして必要事項をご記入の上で回答を送信してください。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSeU5vijxOW7L4fK-pw4xcbqLpM1u3QMm2zpgf1rJHlvIYr5oQ/viewform
3月14日(木)15時までに事前登録された方には配布資料へのアクセスについてメールにて連絡いたします。それ以降に登録された方には、それぞれフォームよりお知らせする予定です。なお例会会場ではゲスト用のWi-Fiアカウントを発行しますので、持参されたノートパソコンやタブレットに資料をダウンロードすることもできます。例会当日に紙での配布はいたしませんのでご注意ください。